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by Allied Architects

オイシックスドット大地のUGCを活用したソーシャル広告戦略

SEOやSNS、デジタル広告などを活用し、食品定期宅配サービスの会員数を拡大し続けている、オイシックスドット大地。今回は同社の定期宅配サービスの集客戦略を担う、EC事業本部の吉川氏にお話を伺いました。

同社が、この数年特に注力しているソーシャル広告。通常の広告とは特性の異なる そのチャネルで、半年で顧客獲得単価を20%も削減したとのこと。
成功の秘訣・クリエイティブの考え方、またソーシャル広告推進のために活用したツールはどのようなものなのでしょうか。

オイシックスドット大地のデジタルマーケティングについて

村岡- 本日は、よろしくお願いいたします。まず、吉川さんの現在の業務やミッションについて、教えていただいてよろしいでしょうか?

吉川氏- 私のチームとしては、オイシックスの定期宅配サービスをたくさんの人に使ってもらうために、販促施策により定期会員の人数を増やすというのがミッションです。その中でも私自身のミッションは、デジタル広告などのオンライン施策やリアルのイベントなどの、オフライン施策を使った販促施策を担当しております。広告についてはインハウス(自社運用)ではInstagram広告運用、その他の広告は代理店様と一緒に運用を実施しております。

村岡- 商品は、具体的に どのようなものですか?

吉川氏- 弊社の商材は、いわゆるサブスクリプションモデルである、食材の定期宅配サービスです。特にオーガニック食品などのこだわり食材と、材料とレシピがセットになったミールキットが特徴です。中でも広告でプロモーションしている主な商材は「おためしセット」です。一度、おためしセットでオイシックスの食材やサービスを実際に体験してもらった上で、定期宅配に登録してもらうツーステップの形をとっています。

村岡- おためしセットを買ってもらうために、どのようなマーケティングを行ってきたのでしょうか?

吉川氏- メインはSEO対策です。それ以外では、広告のチャネルを通じて、新しいお客様からの購入を増やしています。リスティングやアフィリエイト、SNS広告、リアルのイベントへの出展を主なチャネルとしています。あとは、認知拡大のために、さまざまなメディアで紹介してもらえるような広報活動も別のチームで動いています。

 

SNS広告、成功の秘訣は高速PDCA

村岡- デジタルの中だと、ソーシャルの割合が増えてきているとお聞きしました。これに対しての課題はありますか。

吉川氏- クリエイティブ運用のPDCAを、いかにスピーディーに回すかということですね。PDCAを高速で回すために重要なのはクリエイティブの摩耗を防ぐこと、バラエティをどう維持していくかという点です。クリエイティブを一から作る場合は、企画側でのラフ作成、デザイナーへの依頼、制作、修正など、トータル1週間くらいかかってしまいます。

村岡- それは、代理店を挟んで進める想定ですか?

吉川氏- 仮説の立案から行っていくと代理店さんを挟んでも、内部でやっても、それぐらいかかります。
そうすると、今日立てた仮説を実行するのが1週間後になってしまうんです。それでは、ちょっと遅いですよね。その1週間で さらに状況が悪化するかもしれませんし、成果を上げるにはそれ以上のスピードが求められると感じています。
広告に関するレビューは最低でも週一回は実施していますが結果はデイリーで追いかけていますので、今日の結果が悪かったら、何かしら今日中もしくは翌日に対策がとれるように動きたいなと思います。
ですから、最適なPDCAを回すためには、クリエイティブのスピードは重要だなと感じます。

村岡- ソーシャルは、特にPDCAのサイクルが早い印象がありますね。ちなみに、Instagram広告だけインハウスで運用されているのは、どういう背景からでしょうか?

吉川氏- Instagram広告は去年実験的にスモールスタートしたという背景があり、まずはインハウスで始めました。進めていくうちに拡大性があることが分かり、その頃にはクリエイティブの面も含めノウハウも自社内に溜まり始めていましたので、そのままインハウスで運用していこうということになったんです。

今は貴社サービスのLetro(レトロ)を活用することで工数を削減できているため、インハウスで問題なく進められています。今ソーシャル広告をインハウスで進める上で使ってるツールはLetroだけですね。
(※Letro利用背景 と効果については後述)

村岡- インハウスでのSNS広告運用は、グローバルを中心に3年前くらいからトレンドではありますよね。私も各社を ご支援させていただきながら各企業さまが主流になりつつあると感じているのですが、今後は、Instagram広告以外もインハウスに移行されていく方向性はありますか?

吉川氏- 今のところは考えていませんが、インハウスもしくはインハウスに近いような代理店様とのチーム作りは可能性としてはあると考えています。一部、そのような体制を進めているケースもあります。

 

行きついたのは、フィードになじむクリエイティブ

村岡- 御社はバナー広告やSNS広告など、積極的に活用されていると思います。先ほどInstagram広告運用でもクリエイティブについて少し触れられていましたが、その運用から見えてきたオイシックスドット大地さんとして、大切にされているソーシャルクリエイティブの考え方についてお聞かせください。

吉川氏- ファクトをベースに仮説を考えていくことを大切にしています。ファクトは、数字だけでなくお客様インタビューなどを活用しています。

心がけているのは、見た人の気持ちに変化を起こさせるクリエイティブですね。見た人が課題を解決できそうだとイメージできる内容だったり、これを買えば自分の生活が変わるかもしれないって内容だったり。そういう変化を起こせる情報を きちんと盛り込むことは、結構意識しています。

大事にしている考え方は、「売り手目線」ではなくて「お客様目線」。
商品特徴を ただ伝えるのではなく、それによって変化する生活をイメージできるようなクリエイティブがいいなと考えています。SNS広告の場合は、先ほどもお伝えした通り、「タイムラインになじむ」ことが重要だと感じました。そして、なじむということを考えると、お客様が投稿した写真が良いんじゃないかと。つまり、UGCの活用ですね。

村岡- フィードに なじむクリエイティブ、ということですね。それがUGC(※1)を使い始めたきっかけにも つながるのでしょうか?

 


(※1)UGCとは:User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ(詳しくは、こちら


吉川氏- そうですね。

村岡- 最初はUGCに対して、社内での抵抗感は感じましたか?

吉川氏- はい。フィードになじむクリエイティブやUGCの活用は効果的なのではないか、という社内の仮説はありましたが、同時に写真のクオリティについて「大丈夫かな?」と不安に思う部分もありました。ですが、実際に結果が出ているので、今では社内の理解も得られています。

村岡- それが この業界の課題である、と我々も感じています。まさに写真のクオリティの部分なのですが、ロゴや商品が見切れている写真や暗めのトーンの写真などもあるので「UGCは広告クリエイティブとしては使えないのでは?」というお声を企業様からいただくことがあります。

ですが、そのようなUGCでも、実際 広告に活用し広告効率が大幅に改善した実績は多く出てきています。我々としても、今までのクリエイティブの常識だと、なかなか解き明かせないロジックがユーザーコンテンツにはあると感じています。

吉川氏- そうですね。Instagramは画像がメインのソーシャルなので、写真が綺麗であることが第一前提と思っていたのですが、そうではないってことが分かりましたね。

村岡- その背景には、どのようなことがあるとお考えでしょうか?

吉川氏- 消費者さんたちは賢いので、綺麗すぎる写真だと広告って分かっちゃうんです。だから「リアリティ」のある写真を選ぶことが大切なんだと思います。たとえば、おためしセットが届いたときの段ボールも一緒に写ってる、みたいな。

村岡- そうするとサービスのイメージも湧きやすいですしね。

 

UGC活用を目的にLetroを導入、顧客獲得単価20%削減

村岡- そのようなご状況の中で、昨年11月から「Letro(Instagramに投稿されたUGCをSNS広告クリエイティブとして活用できるサービス)」を導入していただきました。その背景には、どのようなことがあったのでしょうか?

吉川氏- はい。UGCの活用と高速PDCAを回すことが、まさに導入の理由です。
もともとはUGC活用をするため、自社で手動でテストをしていました。直接、ユーザーに個別に投稿画像の許諾申請をとり許諾が取れた画像を管理し、広告として出稿、出稿したクリエイティブごとの効果を検証するといった作業です。しかし、それを手運用で回すには負担が大きく、かなり工数がかかっていました。日々変化するクリエイティブ広告の「勝ちパターン」を探すためには先ほどもお伝えした通り、高速でPDCAを回すことが必要になります。
そこで、どういう運用をしたら良いかを考えているときにLetroを知り、導入することになりました。

村岡- 活用してみた結果、効果はいかがでしたでしょうか?

吉川氏- 実際にユーザーの投稿画像を広告活用したところ、CTRは従来よりも最大50%増加しました。平均でも20%増ですね。特に「おためしセット」を開封した際の写真を広告に使用したところ、顧客の獲得単価も20%削減されました。

効果が出たクリエイティブ

吉川氏- 加えて、UGCを広告のランディングページに掲載することで、転換率の改善にも つながりました。

村岡- ありがとうございます。Letroを実際にお使いいただき、お話いただいたように定量的なパフォーマンスが出てきているかと思います。このほかに定性的な面で得られたメリットはありますか? 

吉川氏- まずは効率面ですね。Letroによって、かなり作業効率は良くなりましたね。通常1キーワードでしか検索できないハッシュタグを複数組み合わせて検索できるので、画像の使用許諾をとる際も選択した画像の投稿ユーザーに一括で申請してLetro内に自動保存されるので非常に便利です。
スピーディーになった分、余った時間を仮説立てや企画にあてることができるので、クリエイティブの質も上がったと感じています。

もう一つは、ハッシュタグに関連するトレンドを一覧で追いやすくなったのもメリットですね。「この季節は、こういう野菜が投稿されている」とか「この調理法が増えてきた」、「お弁当の写真が増えてきた」というふうにキャッチアップしやすくなりました。弊社は写真を投稿してくださったユーザーさんにも積極的にコメントや返信をするようにしています。『販促に写真が使われて、うれしい』などのコメントもあるため、そこから、満足度や反応を知ることができています。コメントのやり取りはLetroで直接メッセージのやり取りをしてますね。


Letro、管理画面

村岡- タイミングによると思うのですが、Letroでは、どれくらいの頻度でユーザーへクリエイティブ使用許諾のオファーをかけているのでしょうか?

吉川氏- 週一くらいですね。だいたい2~3日で返信がくるので、チェックして、返信して、出稿して、を毎週繰り返しています。
現在は、120くらいオファーを出していただいて、そのうち6割から7割で許諾が取れている状況でペースとしては満足しています。

村岡- Letroを使っていただく中で、「これも当たるんだ」とか、「今までこれは当たってたけど、UGCにしたら当たらなかった」という新しい発見はありましたか?

吉川氏- 食品にありがちな話なのですが、いい写真素材は何かとなった際にシズル感(瑞々しさ)を挙げることが多っく、広告で それが必ず当たるわけではないというのは新しい発見でした。確かに、シズル感がある画像は綺麗なのですが、SNS広告で配信したときにリアリティにかけてしまい、見た人が「自分事化」しにくくなってしまうのではないかと考えています。販売ページだと それで良いのかもしれませんが、弊社のようなサービスをSNS広告で紹介する場合は、シズル感よりリアリティが重要になるケースがあると思います。

 

オイシックスドット大地の、今後のLetro活用について

村岡- 今後のLetroの活用に対しては、どのようにお考えでしょうか?


吉川氏- 今やっていることを継続していく形ですね。切り口を変えながら、それに合わせたUGCを用意していきたいと思います。そして、LINEなど新しいチャネルにもUGCを活用していきたいと考えています。

もう一つは、集めたUGCの広告効果を事前予測する新機能(InstagramなどのSNS上に投稿された画像・動画などのUGCを活用した広告クリエイティブの効果を事前予測する人工知能「MILA(ミラ)」)にも期待してます。
先ほどお伝えした通り、広告クリエイティブは頻繁に差し替え効果検証をしていますが、膨大な検証データを人が把握するのは大変なので、人工知能がその大変な部分をカバーしてくれればありがたいなと思っています。

 


Letroとは:「Letro」は、Instagram上にユーザーが投稿した商品・サービスの写真を短時間で収集し、SNS広告のクリエイティブに活用できるサービスです。Facebook広告APIと連携し、投稿者からの利用許諾の取得からSNS広告出稿までをワンストップで行うことが可能です。2016年8月のサービス開始以来、大手食品メーカーや化粧品メーカーなど多数の企業に導入されています。

 

今後のマーケティング戦略の方向性 動画コンテンツのカギは疑似体験

村岡- 今後の全体的なマーケティング戦略の方向性や、強化していきたい点を お聞きしてもよろしいでしょうか?

吉川氏- マーケティング戦略としてはやはり、潜在層の認知を促進し、顕在層になってもらうという部分がポイントだと考えています。オイシックスをもっと知ってもらうためには、そうした認知を広げる活動の必要性を感じています。

村岡- なるほど。オイシックスさんは、PR活動にとても注力されているイメージがありますが、ペイドメディアや運用広告でも、潜在層の認知促進は可能だと思いますか?

吉川氏- そう思います。やり方としては、例えば、ブロードリーチで認知系の動画コンテンツを配信して、そこからリターゲティング広告で顕在層に向けてよりCVに近い広告配信するとか。あとは最近多いのですが、読み物コンテンツをLPにするなどですかね。実際にそういった広告を使った認知促進はすでに弊社で取り組みを進めていて、効果を実感しています。

村岡- 潜在層が顕在層に変わったというのは、どのように測られているのでしょうか?

吉川氏- アトリビューションや認知系コンテンツを閲覧したかどうかでABテストをしたりといった測定は行っていますが、手探りな面もあるのでより正しい評価軸は、これから作っていくという段階です。アトリビューションを含めた評価方法を考えていくことは、弊社としても今後やりたいことです。

村岡- 最後に動画広告の可能性についてお聞かせください。現在Instargramに動画を投稿するユーザーは全体で言うとまだまだ少ないと思います。一方で、Instagramの機能であるストーリーズについては動画投稿が中心ですよね。
今後、動画を広告クリエイティブとして活用するイメージはありますか?UGC×ビデオの可能性についてお聞かせください。

吉川氏- 可能性はあると思います。ストーリーズは、反応が良いと感じます。現在、ライブ配信を販売するサービスも増えてきていますし、リアルタイム性の高い表現方法が今後増えてくると思います。そこにどうやって広告や企業のメッセージとして馴染むのかは考えないといけないですね。

村岡- 動画に関して言うと、しっかりと作りこんだリッチコンテンツもある一方で、静止画の延長線上にあるスライドショーのパフォーマンスも高くなってきています。加えて今お話しいただいたように、リアルタイムの配信もキーワードになってくるかと思います。リアルタイム配信をするInstagramユーザーがこれからどんどん増えてくると思うので、UGC×ビデオの分野で活用する道はありそうですね。

吉川氏- そうですね。実際にストーリーズで出している広告は、私がスマホで撮った動画に、アプリで文字を重ねていて、作り方や表現方法もプラットフォームの変化に合わせて変わっていく必要があると感じます。

村岡- オイシックスさんでは、クリエイティブを動画と静止画で どのように切り分けられているのでしょうか?

吉川氏- 明確な切り分けはありません。動画と静止画どちらにも共通したことですが、WEB上で「疑似体験」をしてもらい購入してもらったり興味を持ってもらったりするというのが、お客様とのコミュニケーションでやっていきたいことです。なので伝えたいことや訴求の内容によって、どのフォーマットが適切かを考えています。さっきのUGCは画像のフォーマットで疑似体験を伝えられそうと考えていますし、オイシックスのおためしセットの箱を開けた瞬間を疑似体験してもらうには、動画のフォーマットがよいかもしれない、といったことを考えています。実際その箱を開けた時のクリエイティブはInstagramのストーリーズで配信して反応が良かったです。このように、伝えたい内容次第で、動画の方がフォーマットとして良いケースはたくさんあると考えています。

村岡- お話を伺いながら、御社はUGCの活用から広報との連携まで、さまざまな新しい取り組みをされている印象を持ちました。会社やチームとして「新しいことを、どんどんやっていこう」という雰囲気があるのでしょうか?

吉川氏- 会社やチームとしても、新しいことをやっていこうという雰囲気はありますね。むしろ、お客様のニーズや嗜好の変化などに合わせて、新しいことに挑戦して自らが変わっていかなければという危機感があると思います。

村岡- なるほど。そうした追い風もあって、チームとしても新しいことをやりやすい空気が出ているということなんですね。本日は いろいろ細かい部分までお聞かせいただいて、ありがとうございました!

吉川氏- こちらこそ、ありがとうございました。

<プロフィール>
吉川 賢治氏(写真右) 
オイシックスドット大地株式会社 
EC事業部

▼インタビュアー
村岡 弥真人(写真左)
アライドアーキテクツ株式会社
執行役員
プロダクト統括部長

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