SNS for Biz
by Allied Architects

獲得基盤をマスからSNSへ。生活者に届くクリエイティブとは?

モバイル事業大手のドコモと健康機器メーカー大手のオムロン ヘルスケアが、それぞれの強みを生かして立ち上げたドコモ・ヘルスケア株式会社。今回は同社コンシューマー事業部のコンシューマービジネス部部長である松島りんご氏にお話を伺いました。

同社では、SNS広告こそが商品の特徴を最も生かすマーケティング手法だと気づき、SNSに特化した施策を講じて大きな成果を上げています。いったいどのようにして成果を出せる媒体、クリエイティブを見つけていったのでしょうか。
取材した内容をご紹介いたします。

 

ドコモ・ヘルスケアについて

今崎- 本日はよろしくお願いいたします。まず簡単に、松島氏の部署のミッションや役割を教えていただけますか。
 

松島氏- はい。弊社は、ドコモとオムロン ヘルスケアの合弁会社で、モバイルが得意なドコモと健康に関する機器の製造市場で大きなシェアを持っているオムロン ヘルスケアとが協力し、ヘルスケアの市場において大きなビジネス展開をしたいと考えて作った会社です。主に、モバイル面を中心にしたヘルスケアのサービスと、モバイルと連携するデバイス・機器の製造販売とサービス提供をしております。

私どもはコンシューマービジネスなので、一般消費者向けと法人向けの2つの商品があります。私の部署では、一般消費者向けの商品とアプリを扱っています。ムーヴバンド®3*の販売や、月額課金のアプリなどへのお客様の誘導がミッションです。

 


手首につけるだけで毎日の歩数と睡眠の質がわかる。大人に似合うウェアラブル活動量計。『LACOSTE』とのコラボレーションモデルも
 

今崎- ムーヴバンド3とはどのようなものですか?

松島氏- 主に歩数を中心とした活動量と睡眠の状況を測れるウェアラブル端末です。よくあるウェアラブルの活動量計はスポーティーなものが多くて、スーツに合わない、普段使いしにくいという声がありました。

そこで、どんな服装・TPOにも合せやすい普段使いのウェアラブル端末として、オムロン ヘルスケアとムーヴバンド3を共同開発しました。ファッション的なイメージも打ち出そうと、幅広い年齢層に向けてブランド展開しているラコステ社ともコラボしたデザインも販売中です。

* 「ムーヴバンド」は、ドコモ・ヘルスケア株式会社の登録商標です。 

 

同じ趣味趣向で繋がるSNSは、ニッチ層の獲得メディアとして有効だと判断

今崎- 2016年末頃、弊社で支援させていただく前は、リスティングを始めとしてGoogle、Yahoo!のディスプレイ広告など、様々な広告施策を行い、あわせてSNS広告もされていたということですが、その際の各媒体の効果や実感値などをご紹介いただけますか。

松島氏- もともと、ムーヴバンド3のプロモーションは、マーケティング部隊ではなくプロモーション部隊が行っていました。テレビCMや電車内動画広告など、マス向け広告をメインとするプロモーションを実施する中で、WEBマーケティングはその中の一部として実施していました。

当初はマス向けに使用していたクリエイティブをWEBにも活用したり、多くのWEB媒体に出稿し試行錯誤を重ねていたため、特にWEBでの販売強化を優先的に実施している状況ではありませんでした。

大規模なプロモーションがひとまず終わった2016年末くらいから、今度はしっかりWEBでの販売強化に向けたマーケティングを行おうということになりまして、媒体を精査し、成果の出る媒体を絞っていきました。リスティングは検索型の広告なので、獲得の効率は良いものの件数が担保できていないという状況でした。

今崎- SNSとはどういう点で相性がいいと感じたのですか?

松島氏- GDN(Googleディスプレイネットワーク)や YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)のように、幅広い層に訴求していくというよりは、ニッチな層に絞って広告展開すべきだということは、プロモーション部隊から引き継いだときに分析できていました。

ムーヴバンドは、アスリート感覚で体のコンディションを整えたい層ではなく、普段の生活習慣を少し良くしてきたいというニッチな層に対して広告を展開していくのが良いと。この点、SNSは趣味趣向や潜在意識が同じ方々を取りやすいと分かっていましたから、まずはSNSから獲得の面を広げていこうということになりました。

今崎- Facebookのターゲティングは、個人のインサイトを元にした類似ユーザーへの拡張配信などがある点で、ターゲティングの精度は他の媒体よりも高いのが特徴です。そこがマッチングしたのではないでしょうか。

松島氏- そうですね。Facebookのターゲティングで成功してから、その情報を持ってほかの媒体に広げていく方が得策だと判断しました。

 

クリエイティブの検証、改善でCVR130%、CPA41.5 %、獲得件数16倍に  使わなければ分からない「商品機能」は訴求軸としては響かなかった

今崎- 2017年1月くらいから弊社にて広告運用の支援をさせて頂きました。特にFacebookでのクリエイティブ検証を重点的に支援させていただきましたが、弊社とのお取組み以前貴社でご利用されていたクリエイティブはどのようなものでしたでしょうか。

松島氏- もともとのクリエイティブはロゴが入っていて、どちらかというときれいにデザインされたものでした。イメージ先行型で、“商品のイメージ”、“かっこよさ”をアピールしたいというクリエイターの思いが強く出ているクリエイティブになっています。

今崎- このときの効果はいかがでしたか?

松島氏- まだプロモーション初期で、認知を獲得していくという段階でしたので、正直あまり販売にはつながっていませんでした。

今崎- そのようなご状況の中、どのように改善を行ったのでしょうか? 

松島氏- イメージ先行のクリエイティブでは成果が出ないということは分かっていましたが、ではどういう素材を使えばいいのか、そもそも何で訴求すべきか社内でも議論が分かれていました。

そのような中、アライドさん支援の元、睡眠改善の訴求をベースにした広告素材や、一般の方のSNS投稿に近いような写真、ラコステの店鋪スタッフが写ったデザイン性訴求写真などを用いてA/Bテストを行い、どのようなクリエイティブが当たるのか、効果を見ながら絞っていくことができたのがとても良かったですね。
商品を実際に使っていただいたユーザーさんからは、睡眠管理機能が一番面白いと言われるので、PDCAを回す前は「睡眠」で訴求するのが一番響くのではと思っていました。

ただ結果として、普段の生活に溶け込んでちょっと体調を良くしたいといったイメージが伝わる「普段使い」クリエイティブの数字が良かったのです。使ってみなければ分からない機能訴求は広告では響かない、ということが分かりました。他サービスでは通常100、200のパターンを数ヶ月にわたって次々にテストしていくのですが、ムーヴバンドは高速でPDCAを回せたため、比較的早く、数字が出るものを見つけることができました。


(左)過去SNS広告に活用していたクリエイティブ、(右)改善後のクリエイティブ
 

今崎- 検証の早さと質が、他の広告媒体よりもFacebookでは早くできたということですね。実績はいかがでしたでしょうか。

松島氏- 実績値で見ますと、訴求軸を変えたことで利用シーンが分かりやすくなり、CVR(コンバージョン率)は1.3倍に引き上がって、獲得単価としては4割弱の改善ができました。従来のクリエイティブと比較すると件数も16倍ということで、効率の改善と件数の拡大ができたと言えると思います。 

今崎- 訴求内容の決定の道筋について教えてください。社内でまず訴求軸を決めてその軸に沿って広告展開するのが一般的なパターンだと思いますが、今回はいかがでしたか? 

松島氏- 貴社のセミナーへ参加したり、最新情報を集めたりして色々勉強をしていたので、「普段使い」というクリエイティブのほうがいいだろうと当たりはつけていました。その大枠の仮説を試してみたらよい数値が出て、運用しながら更に細かい訴求軸を決めていったという流れです。

あとは、広告の遷移先であるランディングページも同時に改善を進めました。元々はランディングページも同様に、商品のデザインを前面に押し出すような写真を活用していましたが、普段つけているシーンが想像できるようなクリエイティブを追加することで、クリック率が改善したのです。

製品特性的にも価格帯的にも、ムーヴバンドは年にいくつも買うものではないので、それを見据えて遷移先ページもセットで改善したのは成功した要因のひとつだと思います。


広告クリエイティブとセットで改善した遷移先ランディングページ

FacebookからLINEへ、クリエイティブの勝ちパターンを水平展開

今崎- Facebookで6ヶ月間検証を行って目標のCPAを達成した後、LINEに水平展開しましたが、LINEでの成果や、社内の反響はいかがでしたか。

 

松島氏- ほかの商材を含めLINE広告をしたのは初めてだったので、出し始めは結果がいいのか悪いのか、正直分からなかったですね。ただ、早くからいい数字が出はじめたので、可能性が広がりました。

Facebookでの検証を持ってLINEへ展開したら、結果がきちんとついてきたということですね。一つの試金石になりました。今まで持っていなかった獲得基盤を作れたと思います。今では他のアプリ広告への展開でもLINE広告活用を考えています。

今崎- 「普段使い」「生活に馴染む」というキーワードは、どの媒体でも当たるという実感値はありますか?

松島氏– SNS系にはなじむかもしれません。投稿されているものに近いもの、フィードになじむというのが今の広告の王道なのかなと思います。それを考えるとLINEもFacebookと同じようにUGC(※)に近いものがウケるということに違和感はないですね。


UGCとは:User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ(詳しくはこちら



今崎- ユーザーからすると、いかにフィードに馴染むか?はどの媒体でも重要なポイントだと思います。

 

Letroを活用したUGC収集で社内の発想にはない新しい切り口のクリエイティブを獲得

今崎- 今回のLINE広告に関する取り組みで、弊社独自のシステムであるLetro(レトロ:Instagramに投稿されたUGCをSNS広告クリエイティブとして活用できるサービス)をご利用いただきました。

こちらは検証したクリエイティブではなく、ユーザー投稿をそのまま広告クリエイティブに活用した結果、より効果が上がったという事例になると思いますが、これに関する御社の評価、システム的なメリットについていかがでしょうか?
 

松島氏- SNSに広告施策を寄せる中、消費者に身近に感じてもらい、より親近感を持ってもらい、情報を深く届けるための手段として良いものだと思います。

消費者の投稿した写真をそのまま広告クリエイティブとして活用できるので、社員が思う「お客様の生活や利用に近い写真」より、リアルなクリエイティブになるのはいいなと思いました。
例えば社員が考えるフィードに馴染む画像は、実際に装着して撮影しているような発想に留まるのですが、利用者から集まった写真は、「ロゴが可愛い、と商品を並べて撮っている写真」もありました。

そういう写真は、社員の発想にはなかったですし、消費者として商品の良さを分かってくださっているお客様が撮ることで、かっこよさやファッショナブルさがより伝わる写真になるのかなと思います。

今崎- Letro(レトロ)を使うと、いい意味で意図しないクリエイティブが上がってくるので、こういう撮り方をするのかという新しい発見がありますよね。

 

松島氏- そうですね。箱がかわいいのでそこにフォーカスした写真なんかもありました。新しい発想、捉え方など、社内にない切り口のクリエイティブを簡単に収集できるのがよいと思います。

今崎- UGCが集まるというのはもちろんのこと、画像を公募することで自分たちが思っていなかったようなクリエイティブが何パターンも集まる、いろんな切り口での訴求軸をユーザー自ら考えてくれるのが良いということですね。

松島氏- そうですね、切り口や引き出しが増えたのはいいことだと思います。



Letroとは:「Letro」は、Instagram上にユーザーが投稿した商品・サービスの写真を短時間で収集しSNS広告のクリエイティブに活用できるサービスです。Facebook広告APIと連携し、投稿者からの利用許諾の取得からSNS広告出稿までをワンストップで行うことが可能です。2016年8月のサービス開始以来、大手食品メーカーや化粧品メーカーなど多数の企業に導入されています。

 

今後はマス広告からSNS広告へ大きくシフト、ニッチなターゲットだからこそ新しい挑戦を

今崎- 今後、商品に対するマーケティング戦略の方向性については、どうお考えですか?
 

松島氏- ムーヴバンドの広告は、今後も継続して磨き込みをしていかなければならないと思っています。さらに、購買ページのほうの改善が弱いと思うので、そちらの改善をさらに強化してCPAを改善していく、もしくは、CVRの改善に注力してより規模が出せるようにしていきたいと思っています。

今崎- その他、SNSとそれ以外のマーケティング施策とを連動させるような構想は何かお持ちですか?

松島氏- ニッチなターゲット向けのサービスであるムーヴバンド3は、幅広く訴求するよりはピンポイントで取ったほうが効率的なので、今ではGDNやYDNはほとんどやっていません。

もう少し安価な他の商材では、色々なところで一度接点を持ってから、リターゲティングで刈り取っていくということはかなりやっています。サービスによって使い分けていますね。色々広く出せる媒体での効率が悪すぎないようなサービスでないと難しいと思います。2016年の10月くらいに電車や雑誌の広告も実施しましたが、あくまでプロモーションとしてやっていました。ただ瞬間的な露出ですし、こうしたものは効果を測るのが難しいですね。

今崎- 今後のマス広告とSNS広告の注力度合はどのようにお考えですか?

松島氏- マス広告を活用し、ある程度認知されないと買われない商品というものも確かにあるとは思いますが、弊社の商品がマス広告に合うのかどうかは再考が必要だと思います。弊社は、ヘルスケアの女性向けアプリを作っており、「ヘルスケア情報を求めていて、且つ女性をターゲットに…」といった形で先ほどもお伝えした通りニッチなターゲットを狙う弊社は、マス広告が必ずしも効率的なわけではないと考えています。

セグメントを切ったSNS広告の中でもLINEやFacebookをきちんと活用し、認知まで役割を担わせる方が近道だと考えています。ヘルスケアのアプリは、その悩みを持っている人に寄り添わないと、使い続けてもらえません。そういう背景もあって、マス広告に費用をかけるよりは、SNSを中心に活用していこうと思っています。

今崎- では、SNSの広告の優先度は引き続き高まっていくのでしょうか?

松島氏- はい。実は今年度のマス広告の予算をほぼなくして、SNSに寄せています。去年色々試して、大衆でマスコミュニケーションをとることは効率的でない、と社内での共通解が出ました。ドコモやオムロンといった大きな会社のマーケティング感覚で色々やって失敗したこともあります。

そういうのを一つ一つ勉強し、やめる施策、新しく始める施策など、どんどん試している最中とも言えますね。PDCAを回す中でSNSに注力していく体制もできてきました。弊社は、そういうことを自由にやらせてくれるフットワークの軽い会社だと思います。まだ新しい会社で、色々なことにチャレンジできる環境があるので、今後もどんどん新しいことに取り組んでいきたいと思っています。

今崎- 最後に、弊社のご支援についてご感想があれば教えてください。

松島氏- すぐご相談できて、PDCAを高速で回せたのがとても良かったです。オフィスも近いので(笑)。それまでアプリの広告はやっていましたが、商品自体の広告をSNSで手がけるのは今回が初めてだったので、十分な経験値をお持ちの貴社がご近所にいらしたのはラッキーでした。的確にアドバイスをいただき、かなりの近道をさせていただいたと思っています。新規の商材について、SNSで数を取れる基盤ができたことに満足しています。

今崎- ありがとうございます。今後とも引き続き宜しくお願い致します。

松島氏- こちらこそ、本日はありがとうございました。
 
<プロフィール>
松島りんご氏(写真右) 
ドコモ・ヘルスケア株式会社コンシューマー事業部
コンシューマービジネス部部長 

▼インタビュアー
今崎裕二(写真左)
アライドアーキテクツ株式会社 
アドテク事業部

▼撮影
小野田友明

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