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【レポート】キリンが語るリアルイベントとSNS活用のシナジー

キリンが語るリアルイベントとSNS活用のシナジー

本レポートは6月28日にアライドアーキテクツ株式会社で開催されたビジネスセミナー「リアルイベントとSNS活用のシナジー」で実施したパネルディスカッションの模様をご紹介いたします。

当日は、デジタルマーケティングに精通しているキリン株式会社の島袋氏や若年層マーケティングとしてインフルエンサーマーケティング事業及びメディア事業を行う株式会社VAZ代表の森氏、そして、この分野の第一人者である株式会社SnSnapの目良氏がパネルディスカッションに登壇。「リアルイベント×SNS」企画の方法や、収集したデータの活用方法などについて討論しました。


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▼登壇者
<パネリスト>
キリン株式会社 デジタルマーケティング部 島袋孝一氏
株式会社VAZ 代表取締役社長 森泰輝氏
株式会社SnSnap 取締役CMO 目良慶太氏
<モデレーター>
アライドアーキテクツ株式会社 SMMLab編集長 藤田和重

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スマホネイティブ世代のオンライン×オフラインのつなげ方

・スマホネイティブ世代の現状

「初めて持った携帯がスマホという10代・20代のスマホネイティブ世代は、僕らの頃とは見ているものが違います。テレビの代わりにYouTube、Facebookの代わりにTwitterという世代で、YouTubeやTwitterで現れる人が彼らにとっての芸能人。かつてテレビに出ている芸能人や109のカリスマ店員から発信されていたトレンドは、今ではインフルエンサーから発信されています。」(森氏)

株式会社VAZ 代表取締役社長 森泰輝氏
株式会社VAZ 代表取締役社長 森泰輝氏

つまり、リアルイベントのようなオフラインマーケティングを行う場合でも、SNSのようなオンラインと連携することがプロモーションの鍵を握っています。
特にユーザーがリアルな体験を投稿してコミュニケーションを行っているSNSは、リアルイベントと非常に相性がよく、SNS利用者層をターゲットとする場合、これからのイベントマーケティングではSNSとの連携が必須といっても過言ではありません。

・キリンの取り組み事例

ここで、島袋氏と目良氏はキリンのイベント事例を挙げました。
もともとビール工場には、記念写真を撮れるようなフォトブースがありました。そこでお客様に、ただ写真を撮るだけでなくSNSにシェアしていただこうと、SnSnap社が提供するSNSフォトプリントサービス「#SnSnap」を使って、指定のハッシュタグをつけて投稿すると写真がカードにプリントされ記念品としてもらえるという企画を実施しました。(現在は終了しております。)

ショップに併設された「#SnSnap」
ショップに併設された「#SnSnap」

企業がこのようなシステムを導入することのメリットは、企業アカウントではなく、お客様主語で統一されたハッシュタグで投稿が増えていくことと、Facebook・Twitter・Instagramの投稿数などデータを蓄積することで今後の施策に生かしていくことができる点だと目良氏は言います。「お客様の自主的な投稿が自然と広告になっていくというというのが特徴。どんなお客様が影響を持ったのか、コメントの内容や投稿画像などをデータ化することで、イベントを可視化することができます」(目良氏)。
 

株式会社SnSnap 取締役CMO 目良慶太氏
株式会社SnSnap 取締役CMO 目良慶太氏

キリンでは、従来からのリアルイベントを、このような仕組みでSNSと連携させ、イベントの効果を高める取り組みを行っています。デジタルのデータも同時に集めることで、顧客とのコミュニケーションに深みを増すことができていると効果を実感されています。

・あえてリアルイベントを行う理由とは?

広く人々がつながり、リアルタイムに会話できるSNSが盛り上がりを見せる中、時間と場所が限定されてしまうリアルイベントを今あえて行うことの意義について、島袋氏はこう語ります。
「ビールなどのノミモノ商材でも、パレートの法則的な売り上げ構造が当てはまります。SNSのファンは熱量が高く、売上への貢献度も高い貴重なお客様です。だから、SNSだけでなく直接のコミュニケーションを持つ意味があります。」

キリン株式会社 デジタルマーケティング部 島袋孝一氏
キリン株式会社 デジタルマーケティング部 島袋孝一氏

ネットワークを通じて広くつながっていけるSNSと、その場にいないと体験できないリアルイベントは、どちらも重要な施策です。SNSを活用することで、参加者の体験を可視化して共有することができますし、お客様主語の情報発信である投稿という、企業色の少ない方法でPRが可能です。

またリアルイベントに参加できないSNS上のファンの方に、イベントの様子をイベントに参加したユーザーの投稿から伝えることができ、イベントの効果をイベントに参加していないファンの方にも広げることができます。

・今やTwitterとInstagramの時代

集客しやすいイベントは、ファンミーティングなどファンを対象としたものだと島袋氏は言います。キリンの場合、運用SNSアカウントはFacebook、Twitter、LINEですが、イベント実施後の投稿やシェアを考えると、Instagramの必要性を強く感じているそうです。森氏の実感としては、今の若い人の間で一番使われてるのは、文字ではTwitter、写真ではInstagramとのこと。目良氏も、Facebookはビジネスユースが多くカジュアルな内容は上げにくいので、TwitterとInstagramに軍配が上がると言います。

ここで、インフルエンサーとして有名な「ヒカル」の事例が紹介されました。彼は、チャンネル登録数が220万人というYouTuberで、姫路駅でお菓子を配ることをTwitterでつぶやいた後、実際に何人集まるかという検証を行ったところ、深夜にも関わらず、数10分後には相当数の人が集まり、タクシーで逃げざるを得ない状況にまでなったといいます。また、大手シェアハウスの企画で、インフルエンサーの「ねお」仕様にコーディネートされたモデルルームを作成したところ、その部屋が大人気になっているそうです。

この素晴らしい集客力は企業イベントでも使えるはずと森氏は言います。「インフルエンサーが得意なのは、先ほど島袋さんがおっしゃったピラミッド構造の底辺部分になるファン層を、上位2割の人に変えて行くことです。彼らは、まだ何も知らない潜在層に対して、ファンになるきっかけを与えられます。」(森氏)

森氏はさらに、インフルエンサーは熱量がポイントになると指摘。同じ100万回再生でも、たとえば、ヒカルの動画は平均視聴完了率が50%以上あり、半数以上の人が15分の動画を最後まで見ていることになります。
「インフルエンサーに紹介してもらったら、一週間で商品の売上が数百万アップしたケースもあります。これが動画インフルエンサーのすごさですね。」(森氏)

 

イベント成功の秘訣は、ユーザー目線

・ユーザーが本当に「投稿したい」と思えるかどうか

目良氏は、SNSを活用したイベントを成功させるためには、重要な視点が2つあるといいます。1つは、「SNSはメディアではなく、あくまで消費者のものだという意識」、もう1つは、「ユーザーが本当にやりたいものになっているかどうか」です。

SnSnapは2015年から500回以上のイベントに「#SnSnap」などのサービスを提供しています。その経験から、目良氏はこう言います。「Instagramは、自分のアルバムのようなもの。そこに、ただ企業ロゴの前に立って撮った写真は上げたくないはずです。」ここで、目良氏は口紅の新商品イベントの事例を紹介しました。新商品の口紅の色を実現し、実際にその口紅を塗ったようなフィルターで撮影ができ、さらにお気に入りの口紅をつけたような画像がもらえるというものです。
これは、いかに女性に楽しく投稿してもらえるかを考え抜いたイベントで、結果的に大成功したそうです。

ユーザー目線でイベントを企画することの重要性を語る目良氏
 ユーザー目線でイベントを企画することの重要性を語る目良氏

「その場でSNSに投稿してくれたら〇〇をプレゼントします」という企画では、後で投稿した画像を消してしまうことも。ずっと写真を残しておいてもらえるようなイベントにしないと」と島袋氏も語ります。「メインアカウントに上げてもらいたいのに、サブアカウントに上げて済まされる例も。これではあまり意味がありません。」(目良氏)

・思わずInstagramに上げたくなるような仕組みを作る

次に、リアルイベント×SNSの成功事例として、目良氏は2016年に開催された美術館でのイベントを例として挙げました。美術館の常識に反し、どんどん写真を取って下さいと入口で伝え、大きなランプの下にフォトブースを作るなど、Instagramへの投稿を目的にしたイベントでした。次はここで撮影と、来場者の動線もきちんと組み立てられており、上手くいけばInstagramに2回アップしてもらうこともできたといいます。会場はピンクで色調を整え、思わずInstagramに上げたくなるような仕組みがあちこちにあったそうです。

”Instagramで映える写真が撮りたいから出かける”という、ユーザーの行動原理も上手く活用した企画。
ここにイベント成功の秘訣がありそうです。そのためには常にトレンドに敏感になっていなければなりませんが、目良氏はフォトブースを作る際には、20代の女性スタッフを起用しているとのこと。ターゲット層のトレンドをよく知っているパートナーがいることも、大事なポイントと言えそうです。
 

・あえて企業名や商品名でハッシュタグを作らない

参加者に投稿してもらう際のハッシュタグの利用について、島袋氏は「ブランド名が既に確立されている商品」のキャンペーン事例を挙げました。

「商品のブランド名自体をキャンペーンのハッシュタグにしているのをよく見かけますが、弊社では、ブランドによっては「商品のブランドコンセプト・コミュニケーションメッセージ」をハッシュタグに活用しています。「企業名や商品名」は、自分のSNS投稿でつけたいタグではない場合もあるかもしれません。だから、生活者の文脈に入ってきたときに違和感がないようなハッシュタグを使うことも効果的かもしれませんね。」(島袋氏)

 

SNS投稿時のハッシュタグ設計について解説する島袋氏
 ハッシュタグ設計について解説する島袋氏

目良氏は、イベントの場合はシンプルなハッシュタグが大事だと指摘しました。大勢の人が集まる中、混雑を避けるためにも、分かりやすく、入力し易いことが大事だそうです。イベント名をそのままつけることもあるそうです。イベントの効果を正しく計測するためにも、入力エラーを起こさないハッシュタグの設定はとても重要なようです。

 

「リアルイベント×SNS」を成功させるには?

・ゴール設定はイベント後のつながりまで考える

イベントをその場限りのもので終わらせないためには、お客様とその後どういうお付き合いができるかまで考えたゴール設定をすべきだと島袋氏は言います。島袋氏は、ファンミーティング参加者の方と直接Facebookでつながり、その方が運営するビールファンサイトに個人的なコメントも投稿しているそうです。

目良氏は、SNSの投稿数、印刷数、ミラースナップサービスについては撮影枚数とメール送信した回数、リーチ数、ユニークユーザー数をクライアントにレポートとして報告しています。さらに、お客様がどういう言葉でつぶやいてくれたかという情報をデータで全て取っているそうです。このようなデータを集めることで、次回のイベント企画に役立てることができます。

・マーケッターが見るべきは、リーチよりもエンゲージメント

マーケッターとして注目すべきは、一人の投稿にどれだけ「いいね!」がつくか、リツイートしたかという点だと目良氏は指摘しました。「リーチよりもエンゲージメントはどうなのかをマーケッターは見るべきです。どれだけ身近な友達がいいねをしてくれているのか、どのインフルエンサーにどんな友達がいるのかをちゃんと見ないといけないですね。」(目良氏)

森氏も言います。「みなさんチャンネル登録数を気にするんですが、それよりも大事なのは直近60日の平均再生数です。チャンネル登録数が多くても再生数がとても少ない人もいます。Twitterも同じ。フォロワーがいくら多くてもリツイートが少なければ意味がありません。」(森氏)

YouTubeをはじめ各SNSで活躍するインフルエンサーの着目点について解説する森氏
 インフルエンサーの着目点について解説する森氏

・トレンドをいち早く察知できる環境を作る

SNS人気の移り変わりは早いですが、島袋氏は若い人に直接意見を聞くようにしているそうです。また、ユーザー視点のプランニングをするためにも、現場は大事だと言います。関心が薄いイベントでも参加したり、展示会に出かけてみるなど、自分から面白そうなものを探しに行く姿勢が大事で、その中から企画のヒントを得ることができるそうです。

目良氏も、「社内に若いスタッフと情報共有する場を設けています。すぐに意見が聞ける仲間を作っていくといいのではないでしょうか」と語りました。

 

今後の取り組みについて

リアルイベントとSNSを組み合わせた施策の最先端にいる3人ですが、今後の活動については次のように語り、セミナーを締めくくりました。

目良氏:
「#SnSnap」を導入したイベントのハッシュタグや、「#MirrorSnap(ミラースナップ)」の利用者をベースに蓄積したデータを基にイベント来場者やその来場者のフォロワー、類似ユーザーへターゲティング広告を配信できる「REALAD(リアラド)」という広告事業を開始しました。イベント後のコミュニケーションや次回イベントを実施する際の集客として活用できると思います。実際に夏のイベントに来てくれた人に対し、冬に時計(商品)の動画広告を流して効果がありました。もともと好きで参加したイベントの関連広告なので、嫌ではないのかもしれません。また、これまでイベントを数多く行ってきたので、「○○イベントに行っていた人」といったようなターゲットデータを蓄積しています。今後はその販売も予定しています。

森氏:
今の若い人は、テレビのタレントを見るように動画インフルエンサーを見ていることが分かってきました。では、芸能界と比較したときに、YouTubeにないものを考えたときに、個人チャンネルはあっても、番組がないと。そこで、MelTVという美容チャンネルを作りました。そこに、所属クリエイターが出演し、女子高生20人くらい集めて、企画・撮影・編集までやっている。これにより、クリエイターの多面性を広げていければと考えています。

島袋氏:
データを活用しつつ、オンラインとオフラインでコミュニケーションを取れるような設計を、会社としても個人としても作っていきたいと思っています。

↓「女性SNSユーザーのハッシュタグ利用実態調査」DLはコチラ

女性SNSユーザーのハッシュタグ利用実態調査

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