SNS for Biz
by Allied Architects

【第四回】SNSを活用した見込み優良顧客の獲得

前回「【第三回】ソーシャルログインの特徴と活用方法」では、Yahoo!やFacebookなどSNSのアカウントを使って会員登録やログインができる、「ソーシャルログイン」の仕組みを使うことで、SNSから得られる興味・関心などのサイコグラフィックデータと自社が持つマスターデータを繋ぐことができ、One to Oneコミュニケーションを実現し得ることを解説させていただきました。改めてSNSとCRMの親和性が高いことをご理解いただけたのではないかと思います。

さて、今回は、CRMの もっとも大きな目的とも言える「優良顧客の維持・拡大」にSNSがどのように活用できるのか、広告配信の手法の観点から成功事例も交えて説明したいと思います。

 

SNSを活用した効率的な顧客育成

SNSは、CRM活動の中でどのように活用できるのか、そして従来のCRM活動にどのような変革をもたらしたのか、まずは簡単に説明させていただきます。

新規顧客の獲得と獲得後の顧客育成プロセスが分断されていたのが、従来の取り組みでした。
現在も、前者をマーケティング部が担当し後者をCRM推進部が担当する、といった組織編成になっている企業も多いかと思います。
一般的な顧客育成のステップは、広告の出稿によって新規顧客を大量に獲得し、あとはCRM活動によりリピート購入してもらい、その後も顧客に合わせた最適なコミュニケーションを最適な頻度で実施し優良顧客に引き上げるというものです。しかし、リピート購入者のうち優良顧客になるのは わずか数%であり、「効率」という面では頭を痛めている ご担当者が多いのではないでしょうか。

しかし、SNSには優良顧客になる可能性が高い潜在顧客を最初からターゲットとしてアプローチできる機能があります。たとえば、Facebookを活用した広告配信の仕組みである、「類似オーディエンス配信」(詳細はこの後ご説明いたします)。ターゲットを質の良い潜在顧客層にすることが可能で新規獲得の確度だけではなく、獲得後の育成についても効率化が期待できます。つまり、質の良い潜在顧客層にリーチすることが優良顧客を拡大する最短のプロセスと言えるのかもしれません。

見込み優良顧客の獲得手法としては、DMP※1を活用した広告配信など さまざまありますが、中でもFacebookは属性情報や行動情報など詳細な個人情報を保有しているので特に適した配信媒体と言えるのではないでしょうか。

 

Facebookを活用した「類似オーディエンス配信」の特徴

最初に、Facebookではどのような仕組みでターゲット設定がされているのか、流れを簡単に説明します。

まず、Facebookに登録した年齢・性別・住所などの属性情報や興味・関心事項などのデータ、アップロードした写真といった行動データなどを使い、Facebook独自のアルゴリズムでユーザーの特徴がセグメント化されます。
広告主は管理画面でターゲットの設定を行います。設定された情報をもとに、該当するセグメントのターゲットに対して広告配信がなされる、という仕組みになっています。

上記の仕組みを応用したものが類似オーディエンス配信です。
類似オーディエンス配信は、特定のデータをベースにして、親和性の高い属性や行動をとっているユーザーに対して配信する手法です。特定のデータには、「自社顧客のメールアドレス」や「タグをWebサイトに貼ることで収集するCookie情報」があります。パーミッションの有無による取り扱いは慎重に行う必要はありますが、自社優良顧客のメールアドレスなどのデータをFacebookへアップロード※2し、類似オーディエンスを設定すると、あとはFacebookが類似する属性や特徴を持つユーザーを抽出して自動的に配信してくれます。

お気付きだと思いますが、この手法を応用することで見込み優良顧客へアプローチすることが可能になります(図表1)。

類似オーディエンス配信のイメージ
 

国内月間アクティブユーザーが2700万人いるFacebookには、自社の優良顧客の属性や行動の特徴と類似する特徴をもつユーザーが、多く存在する可能性があります。
例えば自社の優良顧客が、1ヶ月に10,000円以上化粧品を購入するオーガニック製品にこだわりがある30~40代の都市部に住む独身女性の層だとしましょう。
その優良顧客層のメールアドレスをFacebookへアップし類似オーディエンスを設定することで、優良顧客と類似する属性や特徴を持つユーザー(=見込み優良顧客)に対して広告を配信してくれます。

この仕組みにより自社の優良顧客と類似するFacebookユーザーへの広告配信が可能となるので、獲得確度も高い上に獲得後に優良顧客になる可能性の高い潜在顧客層へリーチすることが可能になるのです。

また、自社の既存顧客へアプローチする配信方法として、「カスタムオーディエンス配信」があります。
カスタムオーディエンス配信は、自社が保有する顧客データをもとにFacebookを利用している自社顧客に配信できる手法です(図表2)。


カスタムオーディエンス配信のイメージ


自社顧客のメールアドレスや電話番号などをFacebookへアップロードし、Facebookに登録された情報と照合して、同一のターゲットに広告配信することができる仕組みです。
カスタムオーディエンス配信の特徴としては、オプトアウトによりメールでリーチできない既存顧客に対してリーチできるという強みがあります。

また、既存顧客はすでにブランド認知があるため、カスタムオーディエンス配信を活用することによって新規顧客との比較において購入してくれる確率が高まることが期待できます。

自社データとマッチしないFacebookユーザーに対する配信方法としては、「オーディエンス配信」があります。配信地域や年齢・性別などユーザーの属性情報や、投稿内容などからわかる興味・関心事項でターゲットを絞り配信することができます(図表3)。
例えば、ブランド調査などの調査結果をもとに興味・関心の共通項を見出し、自社ブランドに興味がありそうなユーザーに絞って広告を表示させることが可能です。


オーディエンス配信の設定カテゴリ

類似オーディエンスの活用事例

「類似オーディエンス配信」を活用し効果が現れた成功事例です。Facebookのサイトに公開されておりますので、詳細は、下記URLより ご確認いただければと思います。
https://www.facebook.com/business/success/oisix

■カゴメ株式会社

食品や飲料などの製造・販売を行なっている会社です。
通販限定商品「つぶより野菜」の新規顧客獲得を目指していた同社は、類似オーディエンスとオフライン広告の相乗効果も合わさり、開始3ヶ月で獲得効率を維持したまま獲得規模を大幅に拡大する事に成功しています。
・獲得件数が25倍に拡大(運用開始前との比較)
・CPA(顧客獲得単価)が35%改善(運用開始前との比較)


アライドーアーキテクツ支援によるカゴメ株式会社のFacebook広告運用事例は、こちら

【カゴメ様事例】50代以上のターゲット顧客の獲得拡大に成功!

つぶより野菜


自社データを活用した、広告配信の さらなる進化

第三回のコラムで解説させていただきました「ソーシャルログイン」の仕組みを活用することで、自社では保有していないSNS上での行動データとの紐付けが可能となります。
つまり、これまではアンケート調査などを行わなければ取得できなかった興味・関心や家族構成・職業などの情報が すでにSNS上に存在するため、ソーシャルログインで取得したIDと類似したオーディエンスに対し広告配信が可能となります。これらの機能を使うことで、さらに顧客に寄り添った最適化されたコミュニケーションを設計することが可能となり、顧客と企業の距離を今まで以上に縮めることができるでしょう。

いずれにしても質の良い潜在顧客にリーチするためには、自社の優良顧客を明確化することが必要であることは、アドテクノロジーが発達し続ける今後も必要な課題になることは間違いないと思います。しかし、実際のところ、いかがでしょうか?「購入金額上位の顧客」や「購入回数が多い顧客」だけで優良顧客を把握しているつもりになってしまっていないでしょうか?
これから類似オーディエンス配信の実施を検討される企業だけでなく、すでに類似オーディエンス配信をされている企業のご担当者様も、まずは自社の顧客を正しく把握されることから今一度見直してみてはいかがでしょうか。
どんなにアドテクノロジーが発達しても、データドリブンなマーケティング活動を愚直に行う事が何より大事なのだと考えます。

次回は第五弾、いよいよ連載の最終回となります。次世代のソーシャルCRMの在り方として、SNSを活用したCRM活動における少し未来を見据えた話をさせていただく予定です。

引き続き、どうぞ宜しくお願いいたします。

 


※1:Data Management Platformの略
さまざまなオーディエンスデータ(リアルな行動データ、ネットでの行動データ、デモグラフィックデータなど)をマージし、色々な業種、商品カテゴリーのブランドに対して有効な広告配信データを活用できるようにするプラットフォーム
※2:個人情報等を含むため、実際の手順としてはハッシュ化(暗号化)しアップロードを行う

【参考文献】
・横山 隆治、菅原健一、楳田 良輝(著)『DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門』(インプレスジャパン)
・横山 隆治(著)『新世代デジタルマーケティング』(インプレス)
・押切 孝雄(著)『デジタルマーケティング集中講義』(マイナビ)


本コラム著者紹介
株式会社スマートウィル代表取締役坂本雅志 株式会社スマートウィル 代表取締役 坂本雅志
横浜市出身、青山学院大学経済学部卒、青山学院大学大学院修了
日本生命保険相互会社において、12年超に亘り、リテールマーケティング戦略に従事。
2005年、企業買収(PE投資)を主軸とする日興プリンシパル・インベストメンツ㈱(現シティグループ・キャピタルパートナーズ合同会社)に参画。マーケティング戦略担当として、小売り流通、ホテル、美容、人材派遣、情報通信等の投資先の経営支援を担当後、テレマーケティング事業のリーディングカンパニー「㈱ベルシステム24」の社長室長、執行役員営業企画室長、専務執行役・COO(最高執行責任者)等に従事。この間、BBコール㈱取締役、㈱ワン・トゥ・ワン・ダイレクト代表取締役社長、社団法人日本テレマーケティング協会常任理事等を歴任。
2010年独立起業、CRM戦略を核とした経営コンサルティング会社、株式会社スマートウィルを設立し現在に至る。
2012年より、青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科にて非常勤講師を務める。担当講座「CRM戦略」
著書:「この1冊ですべてわかる 『CRMの基本』」日本実業出版社
 
 
株式会社スマートウィル
事業内容:
CRMコンサルティング業務
・顧客識別に向けた顧客・購買DB分析
・優良顧客維持・拡大施策 企画・開発・運用
・店舗CRM(販売支援ICTソリューション) 企画・開発・運用
・優良顧客予備群囲い込み施策 企画・開発・運用
・CRM浸透に向けた人事評価プログラム構築
 
各種研修サービス
市場調査関連業務
主要取引先:資生堂、NTTドコモ、オークローンマーケティング(Shop Japan運営会社)、インポートアパレルブランド各社、インポートコスメティクスブランド各社、インポートライフスタイルブランド各社等
所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-4 アーバン虎ノ門ビル6F
設立:2010年4月28日
代表者:代表取締役 坂本雅志
お問合せ:contact@smartwill.co.jp
URL:www.smartwill.co.jp

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