SNS for Biz
by Allied Architects

【レポート】マーケティング戦略におけるSNS活用のリアル

2017年7月27日に、本メディアSNS for Bizのオープン記念として開催されましたイベント「マーケティング戦略におけるSNS活用のリアル」のレポートをお送りします。

本イベントは、サッポロビールの森氏、サンリオの田口氏、日本KFCの塩谷氏、中川政七商店の緒方氏をお招きし、各社のSNS戦略についてパネルディスカッション形式にて議論していただく場として開催されました。


【当日のプログラム】
・ご挨拶 アライドアーキテクツ株式会社 代表取締役社長 中村 壮秀
SNS for Bizのご紹介
・パネルディスカッション ~マーケティング戦略におけるSNS活用のリアル~


 <パネリスト>
 森勇一氏(サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 デジタルコミュニケーションG)
 田口歩氏(株式会社サンリオ メディア部 ジェネラルマネージャー)
 塩谷旬氏 (日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社 マーケティング部 DIGITAL・CRM推進担当マネージャー)
 緒方 恵氏 (株式会社 中川政七商店 執行役員CDO/デジタルコミュニケーション部部長)
 <モデレーター>
 村岡 弥真人氏 (アライドアーキテクツ株式会社 執行役員 AD-Tech事業部長)

SNSは消費者の情報流通における社会インフラとして定着


イベント冒頭、SNSマーケティングの変遷と現在の状況について語ったアライドアーキテクツ株式会社 代表取締役社長 中村壮秀

イベント冒頭、挨拶に登壇したアライドアーキテクツ代表の中村壮秀は、自身の経験をもとにソーシャルメディアマーケティングの変遷を振り返り、「消費者がSNSを利用する以上、企業はそこでマーケティングを行う必要があり、一部の先進企業は完全にSNSシフトを宣言し始めた。」と説明。
多くの成功事例が出ていることに触れ、「本日はその先進企業のリアルな声を聞ける場。ぜひ楽しんでほしい」と挨拶を締めくくりました。

 

各SNSの評価は千差万別

まずは本セミナーの参加者に対しておこなわれた事前アンケートの結果が提示されました。


「現在活用しているSNSはどちらですか?」の設問に対して、最も多いのはFacebookでした。
その後は、Instagram、Twitter、LINE、YouTubeの順でした。

続いて、「SNS活用のどのような点に関心がございますか」の設問に対しては、「今後注目すべき技術、手法、メディア等」が最も多い回答となりました。

次に回答数が多かった項目は、

・具体的な運用内容
・各SNSの使い分け
・戦略におけるSNSの立ち位置
・KGI、KPIの設計

でした。


これを受けアライドアーキテクツ株式会社の村岡氏は、現場では「ソーシャルをやっているが、今後、どう活用していけば良いか分からない」、「経営層から指示があり運用を始めてみたものの、KPIやKGIの数値を求められて困っている」という声が多いことを説明。
そこで今回は、

・Webマーケティングの中でのソーシャルの位置づけ
・ソーシャルを使った施策の内容

をテーマに、アンケート結果もふまえてディスカッションがスタート。


当日モデレーターを務めた、アライドアーキテクツ株式会社 執行役員 AD-Tech事業部長 村岡弥真人

つづいて、本セミナーのパネリストに対して行われた「各SNSの評価」が提示されました。


パネリストによる各SNSの評価

パネリストの方々には、どうしてこのような評価に至ったのかについて、事例を挙げて説明していただきました。

 

各社の戦略とSNSに関する取り組み

優良顧客を育成し、売上に貢献(サッポロビール 森氏)

まずは、株式会社サッポロビールの森勇一氏が、SNSマーケティングの目的を解説しました。
サッポロビールのSNS運用目的は「顧客のマインドシェアを高め、優良顧客に育成し、売り上げに貢献すること」です。優良顧客については、「実購買者または情報拡散してくれる人(継続的に)」と定義されています。

サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 デジタルコミュニケーションG 森勇一氏

当初はプレゼントキャンペーン中心の施策を行っていましたが、現在はコンテンツを中心とした手法に移行したそうです。また、森氏は「20代の若者に、どのようにビールのおいしさを知ってもらうか」を課題としたSNS運用については、

・スマートフォン優先、若者の価値観に合うコンテンツ提供
・FacebookやTwitterなど、若年層の多いSNSで継続的なアプローチ

を行っていると解説しました。


優良顧客化に向けた取り組みとSNSの立ち位置

なお、事前アンケートにてFacebookの評価が高かった理由としては、「ほかのSNSだと、ユーザーが未成年かどうかわからない。そのため積極的なコミュニケーションが取りにくい」と語り、Facebookではその点がクリアになるため、評価が高くなったと述べました。これはアルコール飲料を取り扱っているからこそのアンケート結果と言えるでしょう。

そのほか、SNSの位置情報を分析したSNSマーケティング事例も提示されました。
まず、InstagramやTwitterにおいて、どこでどのような発言をされているかを分析しその結果をもとに、施策内容の検討等に利用しているそうです。


SNSを活用し、「接客を拡張」する(中村政七商店 緒方氏)

つづいて株式会社中川政七商店の緒方恵氏がSNS運用の事例を説明しました。
緒方氏は、「SNSを使えば、ありがとうございます、いらっしゃいませがネット上でできるという点に本質がある」と説明。こうした特性を「接客の拡張」という語で表現しました。
株式会社中川政七商店のSNS運用では、「いかにお客様と深くつながるか」を重視しています。
この根底には、「お客様の心に接し、好感を得る」という意味の「接心好感」という中川政七商店の接客基本理念があるそうです。


株式会社中川政七商店 執行役員CDO/デジタルコミュニケーション部部長 緒方恵氏

また緒方氏は、自社製品をいかにして「使ってみたい!」と思ってもらうか、そのためにどのようなコミュニケーションを作っていくか」という点を重視していると語りました。

生活雑貨は、使ってもらわないと本来的な商品の良さが伝わりにくい。これに対して「いかに(使用前に良さを)伝えるか」を考えた際、「写真だけじゃ伝わらない商品も多い」という結論にいたり、動画の投稿も始めたそうです。
その動画は、社員宅でiPhoneを利用して撮影されたそうで、費用がほとんどかかっていません。それにも関わらず、動画は「4000いいね」を超え、予算がなくともリーチが取れるという、SNSマーケティングの特徴が明らかになりました。



4000以上の「いいね」を獲得した中川政七商店のFacebook投稿

なお、シェアされるには「切り口」が重要であるとし、多くのリーチがあった「100枚のふきんを1名にプレゼントするキャンペーン」の事例を解説していただきました。


キャンペーン実施を告知した際のFacebook投稿

ファンとの絆づくり「エンゲージメントファースト」(サンリオ 田口氏)

つづいての発表者は、株式会社サンリオの田口歩氏です。田口氏は、サンリオのSNS運用目的は

・ファンを育成する
・キャラの魅力を伝える
・愛されるキャラを作る

の3つであると説明。
その中でも特に、ファンとの絆づくりを大切にしており、それを「エンゲージメントファースト」という語で表現しました。


株式会社サンリオ メディア部 ジェネラルマネージャー 田口歩氏

つづいて、顧客とサンリオキャラクターとの間のカスタマージャーニーを解説。
顧客の年齢が上がるとともに、サンリオキャラクターとの距離が遠くなったとしても、いつでも戻ってきていただけるよう、「おもてなし」のコミュニケーションを心がけているそうです。顧客とサンリオキャラクターの距離が遠くなっている間は、WebやSNSで継続的に情報提供をおこない、エンゲージメントを維持しているとも解説されました。


サンリオ社のカスタマージャーニー

なお、サンリオのSNS活用は、Twitterがメインだそうです。サンリオキャラクター自身のアカウントが10個ほどあり、それぞれ数十万人のフォロワーを獲得しています。
田口氏はTwitterについて、

・Twitterは喜びをシェアするのに有効
・瞬間的なハネ方が他のSNSよりも抜群に高い

と述べ、

・抱きつきプリン
・サンリオキャラクター大賞

を事例として挙げ、解説しました。


新商品の発売前にSNSは威力を発揮する(日本KFC 塩谷氏)

最後に、日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の塩谷旬氏に、SNS運用の事例を解説していただきました。
日本KFCでは、来店きっかけを調査し、それを基にSNSの運用を行っているそうです。

事例として、「CHIZZA(チッザ)」(2016年11月2日発売)を挙げ解説。CHIZZAのプロモーションは、キャンペーンサイトとTwitterを連動して展開していきました。


CHIZZAプロモーション企画の流れ


情報解禁日の2016年11月1日までは、商品パッケージが見えそうで見えないCHIZZAの画像を掲載。この段階では、ケンタッキーフライドチキンのファンを中心にSNSで話題となっていたそうです。
2016年11月1日、先行試食会を開き、情報を解禁。
その後、Twitterで独自のタグ「#ヤバイのが来た」を提示し、口コミが広がりました。キャンペーンサイトでは、同タグのツイートボタンを掲載し、口コミ誘発を狙ったそうです。また塩谷氏は、「商品の発売前も含めて、SNSを使ったプロモーションを企画すべき」と詳細な数値データを用いて解説。なお、SNS運用のKPIとしては口コミ量を用いているそうです。

質疑応答

パネルディスカッションの終了後には、質疑応答の時間が設けられました。
まずは、「KPIをどう設定するか」に対して質問がありました。
森氏は、「数値も考慮するが、お客様にとってサイトが心地良いことのほうが大事」と解説。「サッポロビールや黒ラベル」と言った検索をする顧客は、「そのキーワードを検索してサイトを訪れてくれるだけでも優良顧客」と語りました。そして、そうした方々をどれだけ心地良くさせるかが重要と説いています。
つづいて田口氏は「キャラクターごとにエンゲージメントの目標がある」と回答。なお、「斬新な企画アイディアで新しいユーザーに響いても、既存の顧客が離れては意味がない」と語りました。

次に、「SNS運用は社内での理解が得られにくいのでは?」との質問が挙がりました。
これに対し田口氏は、「サンリオでは社内の理解は得やすかった」と回答しています。理由として、サンリオでは元々キャラクターが好きな社員が多いためではないかと説明。SNS運用を社内で進めていくには、社員とのコミュニケーションを深めることが必要との意見も挙がりました。

つづいての質問は、「各SNS評価の結果で、各社Instagramの評価が低いのはなぜか」です。
この質問に対し、緒方氏は「インスタは刈り取りに不向きだというだけで評価が低いわけではない」と、事例を挙げて説明。そこで、Instagramを「ファンとの距離感を近づける場所として考えたほうが良い」と提案しました。中川政七商店では、社員の流しそうめんパーティの写真など「商売を感じさせない写真」を投稿しているそうです。「この会社(ブランド)いいな」と思ってもらうためのコミュニケーションの場としてはある意味最も優れている、と緒方氏。これに関連し、「インスタのハッシュタグはどうすれば良いか」という話題も展開されました。
緒方氏は、「自社に合うハッシュタグだけつけ、むやみに大量のハッシュタグをつけない」ことを推奨。

・自社に適したハッシュタグを作る(見つける)こと
により
・そのハッシュタグの「人気投稿」枠に入ること

がInstagramを使ったSNSマーケティングのカギだと説明しました。

最後に、「お客様のノイズにならないために、SNSではどのようなことに注意を払うべきか」との質問がありました。
緒方氏は、「SNS運用では、お客様の理解を深めることが大切」と語り、

・顧客の再確認
・求められているコンテンツを提供

といったターゲティングの重要性を説きました。



当日は約80名の企業SNS担当者が参加した

まとめ

当日は、各社の事例を踏まえてさまざまな知見が得られたセミナーとなりました!
お客様との距離感が近いのがSNSの特徴です。この特徴を活かすには、お客様への理解を深めることが重要となります。継続的にお客様と向き合い、売り上げ目標などを達成する精度を高めていくことが、今後のSNSマーケティングの展望と言えるかもしれません。

SNS for Bizでは、今後もこのようなイベントやコラムなどを通じてSNSの活用方法について情報を発信して参ります。皆様にお役立ていただけるようなコンテンツにできるよう精進してまいりますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
 


こちらのイベントの来場者の皆さまの満足度調査や、
「パネリストイベントを通じて得た気づき」をまとめたレポートはこちらからご覧いただけます


 

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